台風やゲリラ豪雨の際の短時間に降る大雨で冠水が予想されるときは、
避難所に避難すべきかどうかについて解説していきます。
私は、これまで某市で土木技術者として6年以上
浸水対策事業の業務を行ってきました。
そこで得た経験と知識から、集中豪雨の際の避難方法を解説していきますので参考にしてみてください。
避難場所に逃げるタイミングを間違えるとかえって危険です。
あなたが住んでいる地形によっても違ってきますが、
山際や河川の近くの方はあらかじめ雨が激しくないうちに
避難所に行かれることをおすすめします。
河川の役割と仕組みについて
この記事で述べる『河川』は一級河川(国管理)や二級河川(都道府県管理)や市町村が法河川として認定している主要な川のことです。
看板などで川の名前が表示されているものは上記のいずれかに該当していることが多いです。
上記の川は、山奥で降った雨などを排水しながら、平地の雨(道路や住宅地に降った雨)も集めて排水する役割を持っているのが河川の役割です。
ですから、山奥で雨が降っていた場合は主要河川の水位が高くなっています。
この状態で短時間の大雨が降れば、河川が排水できる能力を超えると川から水が溢れだす可能性が高くなります。
河川の流域面積について
雨が降ると山の頂点を境目に、地形が低い所に流れていきますが、
流域面積と呼ばれる「雨が集まる範囲に降った雨」は河川に流入してきます。
日本一の流域面積が大きいのは利根川です。
流域面積は16,840km2にもなります。
ちなみに雨が降った量が全て川に流れ込むことは無いですが、
山地だと地面にほとんどが浸み込むので降った雨の量の20%から30%が流れ出ます。
一方で宅地や道路は95%程度の雨が流れ込むこととなります。
これを『流出係数』といいます。
流出係数=降った雨に対して地面に浸み込まずに流れ出る量
道路が整備されて、宅地開発が進むと更地が減るので、当然ながら浸水リスクは高まります。
急に都市化が進んだところは、河川の整備が追い付いていないので特に注意が必要です。
河川の堤防の構造について
掘り込み河道でできた川【危険度小】
川の作り方は「築堤護岸」と「掘り込み河道」の大きく2つに分類されますが、
「掘り込み河道」で作られた川は築堤護岸で作られた川と比べるとは危険度は低いです。
周りの地盤よりも川を掘り下げた形状のもの。
川の水位が上昇すると水路などの水を放流できないので内水氾濫と呼ばれる浸水被害が発生。
川が氾濫するものではないので、家が流されることはありません。
生命の危険性は少ないので、逃げる場所は2階などの高いところに避難しましょう!
水は低い所に集まってくるので、自治体が発行しているハザードマップなどで浸水深さが大きい所は地形が周りと比べて低いので水が寄ってくると考えてください。
浸水が始まると側溝や水路と道路部分の境目が解らなくなりますので、
道路冠水レベルになっている時は、『外に出ない方が安全』です。
水路にハマると流されてしまって掴まるところもありませんし、
橋に頭をぶつけると不慮の事故にも繋がり非常に危険ですよ。
私も冠水状況を確認するために現場に向かう時に
何度か蓋が無い側溝や会所に足を取られた経験があります。
一級二級河川が氾濫が予想されるときは、市町村から避難勧告が必ずありますし、
webカメラも設置されている川もあるので、それらの情報は必ず入手しておきましょう。
最も怖いのが、川の氾濫です。
築堤護岸は決壊すると危険度大
築堤護岸とは、周りの地形よりも堤防が高く盛られた形状の川のことを言います。
築堤護岸の外側が弱点です。
川が流れている内側は、ブロックで土砂が洗い出されることを予防する対策をしていますが、反対側には経済的な理由から保護用のブロックはほとんどされていません。
ここに水が回るとたちまち決壊のリスクが高まります。
特に川が湾曲している箇所は、水位が上昇しますので湾曲しているところは決壊するリスクが大きいと言えますので、常に警戒をしておいた方が良いですよ。
まとめ
河川の氾濫が予想されるときは、雨が激しくないうちに前もって避難所に退避しておきましょう。
避難する際は、道路が冠水している時は端を歩かずに必ず真ん中を歩くようにしてください!
・川が氾濫する恐れが無い時は、自宅の方が逆に安全。
・避難時に備えてあらかじめ、防災グッズを用意しておきましょう。
・天気情報を見て避難すべきかどうかを考えて行動してください。